変形性膝関節症

 

軟骨の摩耗をふせぎ、炎症が続かないように注意することが重要なことから、筋力を鍛えること、痛みや腫れがでた場合はしっかり安静期間をとることが、重要となります。

また、強い痛みが続いたり、まっすぐ伸びなくなったり、O脚変形が強くなると保存療法だけでは十分に歩くことができず、そのままでは筋肉や骨が弱くなってしまいます。そうした場合は、人工関節手術を積極的に検討することも大切です。

重要なことは、いつまでも自分の足でよく歩けること。変形性膝関節症の保存療法も手術療法も、このことが目的です。膝のことをしっかりしって、あなたの膝と日々の生活にお役立てください。 

 

 

炎症はもともと組織を修復するための反応で、膝の場合は削れた部分の軟骨を修復するために起きるのですが、炎症の過程で、関節周囲が腫れたり、痛んだりします。また、関節は関節包に包まれた袋になっています。この袋の中に常に数ccの関節液があり、軟骨に栄養や酸素を与えています。そして関節の中で炎症がおきると、この関節液が増えます。打撲したところが腫れるのと同じ理屈です。実は、この増えた関節液がいわゆる「水」というわけです。つまり「水」は炎症の結果です。また、膝の痛みも炎症の結果といえます。軟骨や骨には神経が通ってないので、軟骨が削れたから痛いのではなく、炎症が起きることで痛みが出てくるのです。

 

炎症が起きた状態で軟骨に負担をかけると、さらに軟骨が削れて、それがまた炎症の元になるという悪循環に陥ります。

若い人の軟骨は白く光沢があり、弾力もあります。それが加齢とともに、軟骨は黄色くなって、徐々に弾力がなくなってきます。そうなると軟骨が摩耗しやすくなります。軟骨が摩耗し、炎症がずっと続くと、レントゲンでも分かるくらいに軟骨が減ってきます。また、骨にも影響が出て、骨が硬くなったり、余分な骨ができてきたり、骨がすり減ってきたりします。それが、変形性膝関節症です。

 

若い人の軟骨は白く光沢があり、弾力もあります。それが加齢とともに、軟骨は黄色くなって、徐々に弾力がなくなってきます。そうなると軟骨が摩耗しやすくなります。軟骨が摩耗し、炎症がずっと続くと、レントゲンでも分かるくらいに軟骨が減ってきます。また、骨にも影響が出て、骨が硬くなったり、余分な骨ができてきたり、骨がすり減ってきたりします。それが、変形性膝関節症です。

 

 

膝痛になる要因として多いのは、普段運動していない人が急に長く歩いたり、山登りに行ったり、運動会で走ったりするなど、日ごろ行わない急な負担をかけた時です。その負担によって膝の中で炎症が起き、痛み、腫れ、水がたまります。そうした場合、まず大事なことは、それ以上の負担をかけないことです。

 

普段から運動を続けている人は、痛みがあっても無理に運動を続けがちです。負担をかけたあとの痛みは、すぐに収まる程度であれば続けても構いませんが、翌日まで痛みが持ち越すようなときは、3日から1週間程度、運動を中止して、膝や筋肉を休ませてください。そして、生活の中での必要最小限の動きにしていれば、炎症が治まって痛みが徐々に引いてきます。打撲などの場合に、しばらく安静にしておくと腫れが引いていくのと同じです。痛みが減ってきたら、痛む前の半分程度の運動から再開してください。

 

繰り返しますが、運動の時だけ痛くて運動を終えたらすぐ消えるような痛みなら気にしなくて構いませんが、翌日、翌々日まで痛みが続くようなら、思い切って休むことが大事です。

 

1週間たっても治らない時は、やはり整形外科で治療を受けるべきでしょう。さきほど申し上げた炎症の悪循環に陥ってしまいますと、3か月間も「水」がたまり続けることもあります。整形外科では注射で炎症を抑えたり、薬を処方してくれたりします。 

 

 

改善・予防には「筋力獲得」

 

膝痛を放置しておくと、炎症が続いて軟骨や骨が徐々に傷んできます。O脚が進行するところまでいってしまうと、軟骨への負担がさらに強まるので、なかなか元へ戻せません。まずは改善・予防として痛み始めの段階で修正することが大切です。

 

そこで、効果的なのは筋力をつけることです。筋肉を鍛えると、膝の痛みが緩和します。これは筋肉がしっかりすることで、関節が安定した状態で動き軟骨のすり減りを抑えられるからです。軟骨の磨耗を防ぐには、筋力を鍛えることが効果的です。膝関節に関する筋力の動きは主に3つの役割があります。

 

①関節を動かす

②関節を安定化させる

 骨だけではバラバラに。靭帯でつながっていてもグラグラします。筋肉にしっかりおおわれることによって安定化します。

③関節面への衝撃を緩和する

 

調整しながら“そっと”荷重をかけることがポイントです。足がつくタイミングに合わせて、わずかに膝を曲げることにより緩衝します。筋力の増強により、この緩衝作用が働きやすくなり、関節面の負担も軽減することにつながります。

 

また、肥満は膝痛の重要な発症要因、進行要因になるので、太り過ぎには注意が必要です。まず、体重の5%ぐらいを落としてください。50キロの人なら2.5キロでいいわけですから、無理な目標ではありません。

無理せず、毎日運動を続けるよう心掛けましょう。

 

 

 

 

 

 

『立ち上がったり歩き始めると膝に痛みが出る』

『膝が痛くて正座や階段の昇り降りがつらい』

『よく膝に水が溜まってしまう』

『膝を伸ばすのもつらい』

『長い間O脚で悩んでいる』

 

膝関節のクッションである軟骨のすり減りや筋力の低下によって、関節に炎症が起こり痛みが生じる病気です。

やがて、軟骨が傷むと動かした際の衝撃が吸収できなくなるので、非常に強い痛みを感じます。

50歳代以上の男女でも特に女性に多く見られ、40歳代から徐々に増え始めます。日本国内だけの患者数でも約700万人といわれており、メジャーな病気ではありますが、歳のせいだからという理由で諦めている方も数多くいます。

変形性膝関節症を発症すると、膝の痛みのせいであまり運動しなくなり、脚の筋肉が衰えます。筋肉が衰えると、更に膝に負担がかかります。痛みを我慢したり、歳だからという理由で諦めていると、症状は悪化の一途を辿ります。

 

 

・初期の症状

 

人により異なりますが、最も早く現れる症状としては、朝起きて歩き始めた時などに膝の違和感を感じることがあります。また、階段の昇り降りや正座、しゃがむといった行為がつらくなります。

 

 

・中期の症状

 

初期の症状を放置すると、徐々に悪化していきます。痛みがはっきりと自覚できるようになり、膝が完全に曲がりきらなくなったり、伸びきらない状態になります。

また、炎症も出てくるので膝がむくんだり、熱を帯びたり、水が溜まったりして膝が重だるくなります。

この段階で変形が進んでいる場合は、膝に力の入る動きをすると、ガリガリやコリコリといったような音が出てくる場合もあります。

 

 

・末期の症状

 

中期より更に痛みが強くなると、日常生活に支障が出るほどの痛みになります。歩くだけで痛みが出たり、寝ているだけで痛みを感じるようになります。

活動範囲が狭まってしまうためストレスが溜まり、うつ状態に陥りやすくなります。高齢者の場合は、こうした生活を続けていくと、認知症を併発することもあります。

 

 

変形性膝関節症が起こる原因

 

変形性膝関節症の原因は大きく分けて「一次性」「二次性」の2種類に分類されます。

一次性というのは、主に

 

・肥満

・加齢

・姿勢

・運動不足、筋肉の衰え

・女性(特に閉経後)

・O脚や扁平足などを元々持っている

・ハイヒール等を履く習慣がある

・膝への負担が大きいスポーツをしている

 

などが挙げられます。

二次性は主に、原因がはっきりしているものを言います。

要因は、

 

・半月板の損傷

・靭帯損傷

・膝関節の捻挫

・慢性関節リウマチ

・膝周辺の骨折による関節軟骨の損傷

 

などです。