トリガーポイントと経絡

 「トリガーポイント」とは、発痛点とも言い、痛みやコリが最も強い部位のことを言います。

運動で筋肉を過度に収縮・伸張させたり、デスクワークなど同じ姿勢を維持する事で筋肉に負荷をかけると、筋肉を収縮し筋肉痛の状態になります。
筋肉の収縮が慢性的になると、血流が悪くなり患部が固くなり痛みを発するようになります。
トリガーポイントとは痛みの元となる筋や筋膜にできるシコリの事を言います。トリガーポイントが活性化されると様々な不調が現れてきます。

 

第一段階(筋硬結)

この段階では日常あまり痛みは感じませんが、身体を指圧すると痛む所があるという段階です。
身体を酷使したりすると治癒力が低下してトリガーポイントを悪化させ次の段階へ進むこととなります。

 

第二段階(潜在的トリガーポイント)

トリガーポイントを押すと、その場所だけでなく他の場所へ関連痛が出る段階です。

この段階になると、動かすと痛む「動作痛」が起き始めます。腕を上げたり腰を曲げるといった動作で痛みを感じるようになります。
痛みをかばうため身体を動かさなかったり、ストレスが続く事によって次の段階へ悪化する事となります。

 

第三段階

この段階になると、じっとしていても痛む「自発痛」が起き始めます。これが続くと症状の悪化や慢性化に繋がっていきます。


「トリガーポイント療法」はトリガーポイントの活性度を低下させる事を目的とします。
第三段階から第二段階。そして第一段階へ戻す事を目指して施術をしていきます。

 

 

 

経絡の発見が東洋手技法史上、最大の発見なら、トリガーポイントは西洋手技法史上、最も価値ある発見の一つと言えるでしょう。

 

痛む箇所が痛みの原因とは限らず、離れた場所に真の原因があるとする視点は両者に共通します。

 

鍼灸・整体・整骨の経絡治療において、真の原因を「虚のコリ」としているのはトリガーポイント同様、それが極めて局所的な短縮であるが故に目立たず、捉えづらいためであり、それでいて重大な問題を引き起こしている陰の存在を示唆しているという表現に他なりません。

 

即ち、トリガーポイントと虚のコリは同じことの別表現なのです。

 

古来より名人、達人はこの虚のコリを見つけ、処理することが出来る者のことを言いました。

 

しかし、トリガーポイントとして体系化され、パターン化された現在、驚くような治療実績は名人、達人のみの専売特許ではなくなりました。つまり、虚のコリという雲を掴むような難しい概念から解き放たれ、より具体的な、そして把握しやすい筋肉のトリガーポイントに生まれ変わったのです。


ならば、

「東洋的な経絡を捨てても良いのか?」

ということになりますが、答えは否です。

 

経絡反応とは治癒反応のことであり、この反応を起こさせるのにはコツがあります。

ですから、そのコツを掴んだ者はそのものズバリのポイントを抑えることができなくとも効かせることが出来たのです。

 

経絡反応とトリガーアプローチ。一体不可分のものとして捉えなおしたとき、これまでにない徒手療法の可能性が開けてきます。